感情は生物すべての共通項
科学者と呼ばれる人種は一般に、ヒト以外の動物もまた気まずいだの恥ずかしいだの、その種のことを感じている、とは言いたがらない。実験や科学的手法によって証明するのがきわめてむずかしいからだ。
それでも、動物にも感情があり、しかもそれはヒトのいだく感情よりも生々しくて激しいものであるらしい、と考える科学者たちがしだいに増えてきてはいる。情動をつかさどるのは、旧皮質・古皮質からなる大脳辺縁系であり、これは、ヒトや犬をはじめとする哺乳類はもちろんのこと、鳥類、爬虫類にも備わる脳だ。が、ヒトにはさらに、生の感情を処理するための、新皮質からなる脳があり言語があって、感情の衝撃を和らげてくれる多様かつ複雑な心理的防衛機制―抑制、否定、服従、解離などなどの防衛機制―が備わっている。意識してであれ無意識にであれ、ありとあらゆる策を講じて、自分自身を感情から切り離そうとするのである。
しかしながら、ヒト以外の動物は、頼みとなるその種の機制をもたないため、彼らがいただく感情は、おそらく、生で激しい。わたしたちが彼らに魅力を覚えるのは、それゆえであるかもしれない。ありのままに気持ちを見せてくれるから。そのことを、同じく"感じる者"同士、わたしたちは直感で理解できる。情動をつかさどる脳の仕組みはヒトも彼らも変わらない。そうであるなら、感情はヒト特有のものではなく、脳を持つ生き物すべての共通項といえるだろう。人間以外の動物に感情は存在しない、と言いきるとき、その人は、動物への虐待、搾取を正当化しようとしているだけなのだ。自分たちの行動が、同じ地球市民である彼らの気持ちを深く害していることに、頑として目を向けまいとしているだけだ。
ステイシー・オブライエン『フクロウからのプロポーズ』日経ナショナル ジオグラフィック社2011年
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