風邪で怪我が増える?
身体の働きに関しては、風邪をひいても肺機能や運動能力は損なわれない。しかし、ランナーは注意したほうがいいことがある。
一部の研究によれば、風邪をひくといわゆる運動学的特性―歩幅や歩数頻度―が変化し、怪我をする危険性が増えるという。それでも大半の医師たちは風邪をひいていても運動をすることを勧める。それは運動をすれば気分が爽快になるからだ。おそらく運動によって血管が拡張し、血流が促進されるからであろう。
脳の働きはまた別問題だ。風邪をひくと特定のタスク能力に支障が生じる。とりわけ感覚と運動技能の協調を要求する単純な精神運動タスクが影響を受ける。風邪によって反応時間が遅くなり、手と眼の協調が妨げられる。このため、動く標的を追ったり、手先の器用さを要求したりする仕事(たとえば、一群の穴から別の一群の穴へ手早く釘を移す)がうまくいかない。ある研究では、風邪を引くと、予期しない出来事に対する私たちの反応は鈍くなり、注意力を維持するのが難しくなるという。この研究の教訓は何だろう。もし鼻風邪をひいているなら、アーチェリーやペッグボードだけでなく、車の運転も差し控えたほうが賢明だということだ。
ジェニファー・アッカーマン『かぜの科学』早川書房2011年
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