有名人アレックス
しばらくしてリンダとハワードが研究室を訪れたときに、より詳しい話を聞くことができた。リンダは大の動物好きで、アレックスが雑誌やテレビに出ると必ず見るというほどのファンだった。あるとき、アレックスと私を取り上げた番組のビデオをハワードに見せたそうだ。ハワードは、あとでそのビデオテープをこっそり持ち出して見直し、私の居場所を突き止めたのである。その上で、週末のトゥーソン旅行にリンダを誘い、プロポーズをプレゼントするつもりだった。
私から、アレックスの代理プロポーズは難しいとの返事を受け取ったハワードは計画を変更し、すぐにダイヤの指輪とトゥーソン行きの航空券を2人分購入して、トゥーソンに宿泊の予約を入れた。そして5月8日の午後に、しきたり通りのきちんとしたプロポーズをしたーリンダをいすに座らせ、片膝をついて指輪を差し出したのだ。同時に航空券も差し出し、私の研究室に行くことも告げた。リンダは、恋する女性がプロポーズを受けたら誰でもそうなるように、歓喜した。そして「私、アレックスに会えるわ! 嬉しい!」と叫んだ。ハワードは、私に冗談めかしながら、リンダの返事が「私、結婚するわ! 嬉しい!」じゃなくて少し気持が凹んだと言った。それだけアレックスは有名だったのだ。ハワードとリンダは、その日のうちにトゥーソン行きの飛行機に乗った。
アイリーン・M・ペーパーバック『Alex&Me』幻冬舎2010年
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