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2010.10.26

あらゆるものを吸い寄せる山

一夜明けて向かったのは、奈良との県境にそびえる生駒山地。大阪アースダイバーの最重要目的地の一つだ。「このあたりのあらゆる宗教施設に影響を与えている霊山です。生駒の山から大阪湾を見渡すこの東西のラインに、古代の大阪の人は宗教的なコスモロジーを感じていたはずなんです」

 上町台地という「縦のライン」と、生駒山地と大阪湾を結ぶ「横のライン」。交差する二つの線によって、大阪の宗教性が形作られてきたと、中沢は見る。そして前出の釈徹宗氏はこう補足する。
「生駒山地は、大阪大都市圏の苦悩の受け皿とも言えます。それゆえに、怪しいスポットもたくさんある。京都の大文字(送り火)に対抗して『あ・や・し・い』と火を燃やしてほしいくらいです」

 確かに生駒の協力な磁場は、大小様々な新興宗教サークル、ヤクザが経営していると言われる寺、自殺を試みる人々・・・・・・、あらゆるものを吸い寄せいているという。

 生駒登山の途中、かつては松尾芭蕉も句に詠んだ暗峠を歩く。頂上付近にある茶屋で一服。中沢は抹茶をすすりながら「おばちゃん、このお餅美味しいね」と女主人に話しかける。すると女主人が「ここいらには昔、旅籠があってね」と問わず語りに江戸時代の話を始めた。かつて大阪から伊勢参りに向かう人々は、ここ暗峠を抜けて生駒山を越えた。あまりの険しさに、上方落語で「馬の鞍がひっくり返るから、鞍返り峠」などと語られるのだという。こうした会話の積み重ねが、アースダイビングの精度を高めていく。

中沢新一/新しい日本地図を作る『週刊現代2010.11.6』

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