正しいお産
出産は複雑きわまる自然のいとなみのひとつである。前にものべたように、胎児は産道を通過するときにぎゅっと圧縮されてねじれ、つぶれたようになっている。そして、うぶ声をきっかけにして小さく縮んだ姿勢がゆるみ、全身の骨組みがリセットされる。
この国がまだ訴訟に夢中になる以前は、生まれた赤ん坊の足首をつかんでもちあげ、尻を思いきりバシーンとたたくのが標準的なとりあげかただった。その一発で赤ん坊が勢いよくオギャーと泣き、吸った空気が全身をめぐるようになるのである。
いまでは、そんなことをしたらまず訴えられる。産科医は尻に平手打ちをくらわすかわりに、両手の親指で赤ん坊の足の裏を軽くたたいている。それでも多少の効果はあろうが、平手打ちの効果にくらべようもない。
だが、わたしは平手打ちが理想的なやりかただといっているわけではない。
1950年代の半ば、フランスの著名な産科医、フレデリック・ルボワイエ博士がアメリカで分娩法の講義をしたことがあった。ルボワイエ博士はわたしの年来の考えがまちがっていなかったことを裏づけてくれた。博士がいう正しいお産とはつぎのようなものである。母親がわからの脈がとまるのを確認してから、へその緒を切る。切ったら、すばやく赤ん坊を首までぬるま湯につける。もとの環境、つまり子宮の環境を思いださせて、リラックスさせるのだ。つぎに、両手で赤ん坊の尻を支え、ゆっくりとぬるま湯からひきあげていく。赤ん坊が緊張するようなら、またぬるま湯にもどす。ひきあげても緊張しなくなるまで、それをくり返す。そうすれば、赤ん坊は恐怖で泣きわめくこともなく、空気というあたらしい環境に自然になじんでいくのである。
ロバート・C・フルフォード&ジーン/ストーン『いのちの輝き フルフォード博士が語る自然治癒力』翔泳社1997年
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