すぐ帰れない骨
フィリピンでは、日本政府が依頼し、フィリピン政府が選んだ大学教授である鑑定人が骨格や周囲の証言などから、日本人か否かを判断する。彼が遺骨を鑑定の上、「日本兵のものである」と確認できれば、焼骨し、日本へ持ち帰ることができる。
だが、わずかでもフィリピン人や動物の骨が混じっていると判断されれば、たとえ、ほかの大多数の遺骨が日本兵のものだったとしても、「混在」とされ、日本には帰れない。関係者によれば、面倒な作業を回避したいのか、大量の遺骨が出たときに限ってそうした判定がくだされる場合が多かった、という。
しかも、鑑定人はフィリピン全土でたったひとりしかいない。彼の鑑定方法は不可解で、明確な根拠もなかった。日本からの派遣団がせっかく多くの遺骨を見つけても、鑑定人が「ノー」と判断したがために、涙を呑んでフィリピンへ置いて来なければならなかった。これまで、そんな「バカげたこと」が何度も何度も繰り返されていたのである。
喜多由浩『野口健が聞いた 英霊の声なき声』産経新聞出版2009年
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