死の知らせ
親愛なるアナトーリ・エフィモヴィッチ・プレミーニン殿。貴殿の子息セルゲイ・アナトリエヴィッチ・プレミーニン水兵(1965年生まれ)は軍の任務を遂行中死亡した。ここにその事実を報告し、もって哀悼の意を表する。
アナトーリはそそくさと灰色の紙をたたみ、作業着の胸の奥に押し込むと、黙ってその場を立ち去った。スコルニャコヴォ行きのバスはすぐ来たが、アナトーリはそれを見送った。そしてぬかるんだ細いでこぼこ道を歩きだした。凍えた小石の上を、前夜降ったばかりの新しい雪の吹き溜まりの上を、何も見ず、何も考えず、ただ一歩一歩、ロボットのように歩きつづけた。
やがて降り積もった雪でできた小さな土手の上に来ると、アナトーリはふいに足を止めその端にたたずんだ。そして足元にぽっかりあいた空間の奇妙な引力に引き寄せられるように、体をぐらりと揺らせた。アナトーリは前のめりに雪の上に倒れ、胸をかきむしり、むせび泣いた。
ちょうど通りかかった村人が彼を見つけ、その体を抱き起こして荷車に乗せ、家に連れ帰った。
ピーター・ハクソーゼン・イーゴリ・クルジン・R・アラン・ホワイト『敵対水域』文藝春秋1998年
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