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2010.07.20

蟻の巣

高樹 若い世代は、親たちより豊かな生活ができるようになる、と信じていますか。

 そうですね。ただ人口が多いですから、競争も激しい。これだけ成長しているにもかかわらず、大学を出ても就職にもあぶれる学生がたくさんいます。大学の数も学生数もどんどん増え、一年間に六百万人以上の新卒者が輩出される。それに対して国有大企業や外資系といった給料の良い就職先は一握り。新卒者の三割が就職できないとも言われてますから、年間二百万人近くの就職難民が生まれています。
高樹 それは就職氷河期が再来していると言われる日本以上の厳しさかもしれません。
 就職できなかった若者は、田舎に帰っても職がないので、大都市近郊の農家の一室を間借りし、八人から十人が一緒に生活しています。その様子が蟻の巣に似ているので「蟻族」と呼ばれ、大きな社会問題になっています。

高樹のぶ子(作家)×王小鷹(作家)/「欲望大国」の男と女『文藝春秋2010・7』

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