化学物質過敏症
山内さんが『野球の定石』を残したのは、監督業を離れねばならない事情もあったからだ。'94年11月に結婚した妻・智子さんが患っていた「化学物質過敏症」という難病が悪化し、看病に追われることになったのだ。山内さんの兄・敏博さんが語る。
「結婚当初から軽い症状は出ていたんですが、その頃は僕の家に夫婦で来て一緒にお酒を飲んだりしていましたし、支障はなかったんです。しかし、'95年頃から急に悪化した。アパートの2階に住んでいたんですけど、下の階の人が煙草を吸うだけで苦しがっていた。ベランダにいたわけではないんです。それでも反応してしまう。弟が煙草をやめてくれるよう、お願いしに行ったこともありました」
化学物質過敏症とは、煙草、洗剤などさまざまな種類の微量化学物質に反応して苦しみ、頭痛や眩暈、吐き気を催す。重症になると、通常の生活さえ営めなくなる極めて深刻な環境病だ。症状に個人差はあるが、明確な治療法は確立されておらず、いまだに治療できる医師の数も少ないという。
栄冠は君に 輝かなかったけど・・・ある高校野球監督の死『週刊現代2010.2.13』
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