初めての目覚め
二月十八日(水)
砂漠テントでの初めての目覚め、まだ暗く携帯で時間を見るとまだ四時、外に出ると月が出ていた。いろんな夢を見た。
テントをたたみ、引っ越しの準備。これから毎日これを繰り返す。小さなテントだがテントの中は砂漠を忘れる。プライベート空間があり、そこでこの日記もPCを開いて書いている。しかしテントの三本の骨を抜いた瞬間、その空間はぱっと消えて、マジックのように布だけになる。消える! それが不思議。消えるのです。自分のなかで他者を気にしないでいられるという場所がなくなり地球上すべての場所が共有の場所となる、それはテントの骨を抜いた瞬間に電源を抜いたように「ブツッ!!」と消滅する。
他者の存在、他者からの目を無視することは自分の中に入り込むということ。その時間は大切である、自分を高める上で大切である。その高めたものは、他者の前で披露される、そうでなければならない。自分の中から体外のものにレーダーのように放射している気は反射して自分の中に戻ってくる。そんな状態の自分が自分である。テントの中では布一枚でその放射の量を減らして、また受け止めることも辞めることができる。そのぶん自分を分析する、それも自分である。
日比野克彦(アーティスト)/砂漠日記『銀座日記2010・1』
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