食人の分配規範
フォレ族の社会では豚が、相互的な義務を通して人々を結びつける役目を担った―「私はあなたの豚を食べる。あなたは私の豚を食べる。だから私たちは友達だ」というわけだ。
友と友の戦いが絶えない社会において、これには戦略的な目的があった。そして食人にも、それと同様の意図が込められていた。遺体の各部は、義務と支払いの規範に従って分配された。たとえば、故人が女なら、腕と脚は嫁に与えられ、臀部と腸、外陰部は義理の姉妹に与えられた。故人が男なら、睾丸はおじの妻たちに与えられた。こうした儀式的な交換は、異なる集落の住民を相互的な義務によって結合させ、ひいては集落間の暴力的ないざこざを抑える機能を果たした。葬儀の饗宴に招かれ、食べ物を振る舞われた者は、だれもが光栄な気持ちで、満腹になって席を立った。そして、少なくとも当面は、もてなしの主との関係を良好に保つ見込みが大きくなった。
ダニエル・T・マックス『眠れない一族』紀伊國屋書店2007年
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