最高の気分
睡眠は「身体を潤わせ肥えさせ、食物を溶かし、消化を助け・・・・・・懸念を駆逐し、長時間の労働で疲弊した四肢に新たな活力を与える」。確かにそのとおりだし、それ以上のこともしてくれるが、これでもまだその存在理由の説明にはなっていない。なぜなら、これまでの研究で明らかなように、目覚めたまま静かに横になっているだけで、もっと大きな効果が得られるからだ。それでも私たちは眠る。それは、人間もほかのどんな動物も、そうせざるをえないからだ。「もし決定的に重要な機能を果たしていないとしたら、睡眠はこれまでに進化が犯した最大の過ちの産物だ」と、アメリカの睡眠研究家アラン・レクトシャッフェンはかつて語った。
いかにも人間のやりそうな話だが、私たちはその過ちを正そうとし、夜間当直に当たる警備員や夜を徹してトラックを走らせる運転手、地球の自転の束縛を解かれた宇宙飛行士を生み出した。現代における自発的な不眠の記録保持者は、アメリカのランディ・ガードナーだ。1964年、ティーンエイジャーだったガードナーは、通っている高校の科学賞コンテストに参加し、ドーナツを食べ、ピンボールをしたりテレビを見たりしながら、11日間寝ずに過ごした。「それから14時間ぐらい寝た。目が覚めたときは最高の気分だった。まるでたった今、生まれたかのように」と彼は語る。次の晩はいつもどおり寝たそうだ。
ダニエル・T・マックス『眠れない一族』紀伊国屋書店2007年
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