私たちは食人種だった
こうして一時期、食人習慣を否定する人類学者が主流を占めた。彼らはある部族を「人食い人種」と決めつけるのは、たんなる記述を通り越して侮辱であると論じた。
だがこの主張ももはや正しくはない。イギリス人のなかに狂牛病に罹る人と罹らない人がいる理由を調べているうちに、人類がその歴史の初期に食人習慣を持っていたことが、図らずも証明されたのだ。実際、私たち人類は皆ある時代には人食い人種であっただけでなく、そのせいで大きな犠牲を払うこととなった。食人は、死亡率の高いプリオン病の勃発につながったのだ(おそらくそのために、私たちは人肉を食べることに嫌悪感を覚えるようになり、さらに時代が下ると食人は禁忌とされるようになったのだ)。
ダニエル・T・マックス『眠れない一族』紀伊國屋書店2007年
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