真水を得る
下水や廃水を飲み水に再生させる技術の核になっているのは"膜"である。
海水から淡水をつくり出す技術力は日本企業がリードしている。その原点は優れた膜の開発であった。東レ株式会社、水処理・環境事業本部の竹内弘さんは、海水の淡水化に水資源確保の将来を賭ける思いである。
「この技術は、逆浸透膜という非常に小さな孔が空いたフイルムシートを使うんです。その孔は、10のマイナス8乗という、ウイスルより二桁か三桁も小さいものです。この膜は塩分は通さないが水は通す性質を持っています。さて、この膜で仕切った容器に入れた海水に強い圧力をかけます。すると、淡水だけが小さな孔を通って出ていきます」
こうして飲み水になる真水を得るのである。下水とか廃水を飲み水にするには、精密濾過膜などを使う。海水の淡水化に比べて、かける圧力が低くて済み、しかも有害な病原性原虫クリプトスポリジウムを除去できるという特徴がある。
ところで膜とはそもそも何を原料にして作るのだろうか。もともと石油系の物質である。ナイロンの原料と同じで、東レなどは繊維を作る技術を応用して膜を開発した。
中村靖彦(農政ジャーナリスト)/「水ビジネス」活路あり『文藝春秋2010・2』
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