« パラダイムシフトの本質 | トップページ | 創傷治癒メカニズム »

2010.01.01

知恵を愛する人

教団設立からほどなくして、ピュタゴラスは、"ピロソポス(知恵を愛する人)"という言葉を作り出し、それによって教団の目標を明らかにした。オリュンピア競技祭を見に行ったときのことである。ピュタゴラスはプレイウスの僭主レオンから、「貴殿は何を専門としているのか?」と尋ねられた。これに対し彼は、「私はピロソポスです」と答えたのだった。そんな言葉を聞いたことのなかったレオンは、ピュタゴラスに説明を求めた。ピュタゴラスが答えて曰く、

 レオン公、人生とは国民的祝典のようなものかもしれません。ある者は賞金を目当てに、またある者は名声と栄誉を得ようとしてここに集まってきます。しかし、ここで起こることすべてを観察し、理解しようとして来る者は多くありません。

 同じことが人生についても言えましょう。ある者は富への愛によって動かされ、ある者は権力と支配を欲する情熱に盲目的に引きずられています。しかしもっとも優れた人間は、人生の意味と目的とを見出すことに専心するのです。自然の神秘のヴェールを剥ごうと努力するのです。これこそ私が、知恵を愛する人と呼ぶ人間です。というのも、あらゆる点で非の打ちどころなく賢い人間などおりませんが、知恵を愛する人は、自然の神秘への鍵としての知を愛することができるからです。

サイモン・シン『フェルマーの最終定理』新潮社2000年

|
|

« パラダイムシフトの本質 | トップページ | 創傷治癒メカニズム »

人間総論」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/26560/47075708

この記事へのトラックバック一覧です: 知恵を愛する人:

« パラダイムシフトの本質 | トップページ | 創傷治癒メカニズム »