まともな大人
じゃ周囲を見回して、大人の男たちがきちんと生きているか。
―だろう・・・・・・。
まともなのは十人に一人か二人だ。
この頃は世の中がおかしいから? そうじゃない。昔からまともな大人というものはごくわずかしかいないのが世の中なのだ。
新成人の諸君に少し言っておく。
(一)すぐに役に立つものを手にして、何かが上手く行ってると思うな。すぐに役に立つものはすぐに役に立たなくなる。
(ニ)金をすべての価値基準にするな。金で手に入るものなどたかが知れている。金を力と考える輩は、さらに大きな金の力で、あっという間に粉々にされる。金は砂と同じだ(そう言えば砂金と言うな)。
(三)自分だけが良ければいいと考えるな。ガキの時はそれも許されるが、大人の男にとって、それは卑しいことだ。咄嗟にプラットホームから飛び降り、人を救おうとした、あの韓国人青年の勇気と品位を思い出せ(いちいちそうしろと言ってるんじゃないからね)。
(四)世界を見ろ。日本という国がどれだけちいさく、外国からどう日本人が見られているか。将来、この国はどうなって行くのかを自分で考えるのだ。
(五)神社、寺で手を合わせた経験があるなら、キリスト教、イスラム教、仏教を学んでおくことだ。そこに今の世界観の出発点がおうおうにしてある(食事中に戦争と宗教の話はしない)。
(六)他人を見てくれで判断するな。自分の身形は清潔にしておけ。
(七)二十歳から酒を飲めるようになるが、これは先々週号でも書いたが、乱れるな。愚痴るな。品の良い酒を覚えろ。
(八)今はこう言ってもすぐにはわからないだろうが、周囲の人を大切にしろ。家族、友、恩師・・・・・・。
思いついたままに書いたが、ひとつくらい実行してみなさい。
伊集院静/それがどうした 週刊現代版新成人に贈る言葉『週刊現代2010.1.23』
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