せめて「大学生」なら
―閉塾を残念がっている若者たちも多いのでは?
倉本 どうですかね。昔と今では入ってくる塾生が違う。「プロになる覚悟」が欠けているのです。シェークスピアもイプセンもチェーホフも読んでいない。演劇を志す常識も知らない・・・まるでカルチャーセンターに入るような感覚ですよ。せめて「大学生」なら教えられるけど、「幼稚園」から教えるのはつらい。今の若者に一番足りないのは「創造力」じゃないかな。情報はネットから入ってくるから自分で考えない。1次情報から類推して考えたり、新しいものを編み出したりすることがないのです。
―では、2つめの理由は「若者たちへの失望」ですか
倉本 多分にありますね。今どきの若者はみんな優しいんだけど、本当の優しさじゃない。"優しさごっこ"です。人間関係が希薄なんですね。しかられたことがないヤツも多い。塾生に、ちょっと声を荒げると頭の中が真っ白になってしまう。これは親が悪い。家庭の中で煩わしいことを起こしたくないから、しからないし、殴りもしない。甘やかすだけです。この国に軍隊を作れば、きっと"世界最弱の軍隊"ができるでしょうね(苦笑)。今の日本は親がダメ、教師もダメ、だから子供もダメになる。"劣化のスパイラル"ですよ。
倉本聰/臨界の日本 上『産経新聞2010.1.5』
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