愚問
「子供を持つ必要がありますか」などと尋ねるのは、愚問である。なぜなら、この問題は、要、不要で考えるべきテーマではないからである。
それは現実に、結婚してから子供をつくるまでの経緯を考えたら、よくわかる。
今、ここに一組のだ男女がいたとして、互いに好意をもち合い、際き合っているうちに一緒に住みたくなり、結婚する。そこでともに生活しているうちに、二人のあいだの子供が欲しくなり、妊娠する。
最近、多い、「できちゃった婚」も、互いに好きで際き合っているうちに、女性が身籠り、そこで産むことにして結婚する。
いずれにしても、これらは自然に欲しくなってつくるわけで、他人から強制されたり、求められてすることではなく、少し大げさにいうと、自然発生的な行為である。
いいかえると、人類が本来、もっている、種の保存の本能から生まれてくるものである。
それだけに、今、一人でいる男女に、「必要ですか」などときいても、正しい答えが返ってくるとはかぎらない。
彼等も、いずれ好きな相手ができ、一緒に住みだしたら、子供が欲しい、と思うかもしれない。
むろん、子育ての大変さや経済的な問題もあるが、「子供を持つ必要はありますか」という単純な設問で、若者気質や現代を切りとったつもりでいるのは軽率すぎる。
渡辺淳一/あとの祭り 連載279 愚問に流されな『週刊新潮2009.12.31・10.1.7』
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