容貌コンプレックス
瀬戸内 いつだったか、小沢一郎さんが、寂庵に来たことがあるんです。わたしのことだから、初対面なのに「あなたは容貌コンプレックスがおありなんですか」って訊いてしまったの。そしたら向うはもじもじして困ってるのよ。
塩野 なんで、そのとき小沢さんは「あります」っていわなかったんだろう。
瀬戸内 でも、「あなたは非常にたくましいし、いい男です。あなたは豪快に笑ったら親しみが出ます。いつも怖い顔して睨んでいると票が集まりませんよ。和顔施でいきましょう」っていってあげたんです。そしたらその翌日のテレビに出てにこにこ笑ってるの。それがまだ慣れてないから硬い笑顔でした。でもこのごろは随分笑うようになったわね。
塩野 日本の政治家は肉体的にも精神的にも背筋を伸ばして、笑顔を忘れないでいただきたい。民衆は必ずリーダーを見ていますから、その姿勢がいいと自分たちもだんだんそうなるものです。
瀬戸内 なりますね。
塩野 わが日本にいちばん求められているのは、背筋をビシッとすることじゃあないでしょうか。
瀬戸内寂聴×塩野七生/「どうやって死にましょうか」『週刊現代2010.1.30』
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