I am Jimy.
ジミーという呼び名は、連合国軍による日本占領後、学習院に赴任したアメリカ婦人の英語教師エリザベス・バイニング夫人が、英語の授業をはじめるにあたり同級生の全員にニックネームをつけたとき「あなたはジミー」と言ったからだ。
バイニング夫人が英語教師として赴任した際、皇太子明仁は学習院中等科の一年生、まだ十二歳だった。日本語の太郎、次郎と同じで、アルファベット順にアダム、ビリー・・・・・・、とニックネームをつけた。「今日からジミー」と呼ばれた皇太子明仁は「ノー、アイアム・クラウンプリンス」と即座に答えた。
バイニング夫人は、「そうです。あなたはプリンス・アキヒトです」と、同意して言った。どんな反応をするかと注視しながら、決然と強い調子でつづけた。同級生も、固唾をのんだ。
「それがあなたのほんとうの名前です。けれどもこのクラスでは英語の名前がつくことになっているのです。このクラスではあなたの名前はジミーです」と言い切り、皇太子明仁は照れながら微笑んだ。生徒たちも一瞬にしてほぐれた。
猪瀬直樹『ジミーの誕生日』文藝春秋2009年
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