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2008.08.06

iPS細胞の使い方

 この発明で、もう明日にでも心臓でも脳でも悪いところはどんどん新しいものに取り換えられてしまうような気さえするんでうが、実際にはどういうことに使えるんですか?
山中 この細胞の使い方は、まずは創薬、薬の研究なんです。その実用化はかなり早いと思います。

 もうすでに、製薬会社にiPS細胞を売り出しているそうですね。
山中 ええ、企業にどんどん出していって、薬の開発に使ってもらわなければと思っています。
 どんな薬の研究に使えるんですか。
山中 たとえば、心臓が悪い患者さんから心臓の細胞を採って調べるなんてことは普通できないですが、iPS細胞の技術を使うと、患者さんの皮膚の細胞をちょっともらえば、そこから多能性幹細胞をつくって、同じ因子を持った心臓の細胞がほぼ無限にできる。そうすると、なぜこの人がこんな病気になるのか、どういう薬がその人によく効くのか、さらに副作用などがわかったりと、今までできなかったことができる。そういう使い方は1年2年でできると思います。
 そんなに早いんですか。
山中 もう一つの使い方として、患者さんのiPSからつくった心臓細胞を、その患者さんにもう一度移植して、弱っていた心臓を元気にさせる。その可能性の扉は、これからどんどん開かれると思います。
 そうなったらすごいですね。
山中 さらに、今回の僕らの研究は脊髄損傷や糖尿病にも使えます。糖尿病には大人の糖尿病以外に、子供がかかる糖尿病があって、これには大いに可能性があります。糖尿病は、すい臓のインスリンをつくる1種類の細胞だけやられて起こるんですね。その細胞をこのiPS細胞からつくることができたら一気に解決します。

山中伸也(医学者)×林真理子/マリコのゲストコレクション426『週刊朝日2008.8.8』

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