脳のなせること
――本人の「やる気」をもう一度取り戻せる方法はありますか?
「それが、われわれの病院です。ここへ来た患者様の大部分は、他なら寝たきりとなっていた可能性が大です」
ある木曜日に訪ねてみると、酒向正春脳卒中診療科長が開口一番、言った。
「脳卒中で倒れた時、自分に負けたら終わりとかもう一度社会復帰しようといった前向き思考ができる方は十人中三人くらいです。残りの七割は、高次脳機能障害と呼ばれる脳卒中後遺症が原因で手足のマヒや言語障害に加えて、やる気とか意志力そのものを根こそぎ奪われてしまうこともあります。本人が悪いのではなく、あえていえば、すべては病気で壊れた脳のなせることと考えるべきです」
吉原清児(医療ジャーナリスト)/ドキュメント奇跡の病院 理想の医師①リハビリ病院 長嶋、オシム復活の秘密『文藝春秋2008・8』
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