Water cure(水療法)
中世、欧州では魔女狩りがはやった。
魔女と指さされた人は教会で凄まじい拷問を受けた。最初が親指責めで、両の親指を金属製の万力で締め上げる。
それで魔女だと認めたらすぐ火炙りにされるから、みんな親指の骨が砕けるまで我慢する。
次が水責め。9㍑の水を飲ませる。抵抗する者には大型の洗濯挟みで鼻をつまみ、苦しくて開けた口に金属製の筒を突っ込む。スペインではこの筒をボステソ(欠伸)と呼んだ。
そして筒に水を流し込む。ときには糞尿を流し込むこともあった。
それで白状しないともう9㍑飲ませる。
それでも白状しないと膨れ上がった腹を殴ってすべてを吐き出させて、また9㍑を注ぎ込む。
ドイツでは三十年戦争時代に捕虜にこれをやって情報を吐かせた。この拷問法をこの国では「スウェーデンの水」と呼んだ。
フランスはギロチンとともに20世紀までこの拷問をやっていた。最後はアルジェリア独立戦争で、ドゴールは独立を叫ぶアルジェリア人にたっぷり水を飲ませ、それからギロチンで首を刎ねた。
米国では「Water cure(水療法)」と呼んだ。
高山正之/変見自在 噴水 連載303『週刊新潮2008.6.26』
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