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2008.06.05

私の直感

土方との出会いは大きかった。後に彼の妻となる舞踏家の元藤燁子さんに誘われて舞台『禁色』を見に行ったんですんが、驚愕しましたね。彼の表現には生命の響きがあった。その場には、澁澤龍彦や三島由紀夫もいましたよ。僕は、土方の踊りそのものを撮るより、彼の存在を通してその先にある何か、たとえば人間の生や死、つまり性を追求したものを撮りたかった。それが『おとこと女』です。数年前にアメリカンモダンダンスと出会って肉体に関心を抱いていた僕の思いを刺激してくれました。型にはまらないものこそが面白い表現を創造することを教えてくれたんです。

 土方を撮った写真を見て、その芸術性に打たれた作家の三島由紀夫が、
自分を被写体に、と申し出た。

 「あ、この人はダンサーとして撮影されたいんだな」と直感しましたね。それで撮影で自宅に行った時に、庭で水を撒いていた三島さんのお父さんのホースを借りて、三島さんの体に巻きつけたわけです。非常識だね。お父さんは土方、三島、僕を指して「あんた方は三大バカだ」と言うし、撮影中、婦人んとお子さんは実家に帰されるものだから、奥さんには恨まれるし。でも最後には、カメラ好きのお父さんも理解をしてくれましたし、写真の出来上がりを見て奥さんも喜んでくれました。

細江秀公(写真家)/新 家の履歴書 96『週刊文春2008.6.12』

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