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2007.04.03

クモ膜下出血

渡辺 クモ膜下出血の場合はどんな治療をしますか。

塩川 クモ膜下出血で最も危険なのは、再破裂です。一度だけのクモ膜下出血なら助かるケースもありますが、破裂した脳動脈瘤が、24時間以内にもう一度破裂することが多く、再破裂すると、初回よりも激しい出血を起こすため生命の危険があります。ですから、再破裂を予防するために治療を行うわけです。
 ただ、クモ膜下出血に対して、開頭手術と血管内治療の、どちらをやるべきかは学界内でも論争になっています。
渡辺 どんな議論ですか。
塩川 開頭手術では、動脈瘤の根もとをチタン製のクリップでとめます。一方、血管内治療は、動脈瘤の内部に金属のコイルを入れて、血液が瘤に流れ込まれないようにします。
 数年前に、ヨーロッパで特定の条件に適う破裂動脈瘤にはコイル(血管内治療)のほうが成績が良いのではないかとする論文が発表されました。確かに開頭手術は身体や脳への負担が大きい。しかし、この治療法には長い歴史があり、再出血予防効果が確かめられています。対する血管内治療は、長期間の再出血予防効果があるかどうか、まだ定かではありません。私は、クモ膜下出血の原因となる動脈瘤が見つかったら、クリップが安全にかけられる場合には原則として手術を勧めています。
渡辺 コイルによる治療はまだ安全性が確立していないということですね。
塩川 「コイル」は現時点では発展途上の技術ということで、うまくいけば患者さんの身体への負担は少ないかもしれませんが、治療に伴う危険は小さくないということでしょう。
渡辺 クモ膜下出血は手術で完治しますか。
塩川 クモ膜下出血は、最初重症でも、社会復帰される方も多くいらっしゃいます。脳の損傷がなければ、クモ膜下出血は適切な治療で完治する可能性があるんです。一方、脳内出血や脳梗塞は、脳が損傷してしまうので、治療がうまくいっても完全に回復することが難しい病気です。
渡辺 脳卒中というと後遺症が心配なわけですが、それを克服した有名人もたくさんいますね。長嶋茂雄さんのケースはどうですか。
塩川 長嶋さんの病状などを存じ上げているわけではありませんが、最近のテレビなどでのお姿を拝見すると、よく回復されたとファンのひとりとしてうれしく思います。無理をせずにご活躍いただければ、同じ脳卒中の後遺症に苦しむ方々への励みともなるのではないでしょうか。

塩川芳昭(杏林大学医学部付属病院脳卒中センター脳神経外科)×渡辺淳一(作家)/[脳卒中編 その2]「梗塞」と「出血」薬で治すか、手術すべきか『週刊現代2007.4.14』

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