養生の極意
益軒は、養生の術は「身をうごかし、気をめぐらす」と繰り返し説いている。
養生の術は、つとむべき事をつとめて、身をうごかし、気をめぐらすをよしとす。つとむべき事をつとめずして、臥す事をこのみ、身をやすめ、おこたりて動かざるは、甚だ養生に害あり。久しく安座し、身をうごかさざれば、元気めぐらず、食気とどこほりて、病おこる。
おそらく、『養生訓』の中でいちばん多く使われている語句といえば、「気をめぐらす」という語句であろう。益軒は口ぐせのように、「気をめぐらし」「元気をめぐらし」「血気をめぐらし」といっている。気をふさぎ、気をとどこおらせてはいきない。そのためには、休んだり眠り過ぎたり、じっとしていてはいけない。「手足をはたらかし」「身をうごかし」て、気をめぐらさなければいけない。
この気[元気]こそ、「人身の根本」「生の源」「命の主」であるから、養生はこの気をたもちめぐらすことにある、と益軒はいう。
こんにちの私たちに馴染み深い解剖生理学に基づく近代西洋医学の人体観・病気観は、固体的・空間的・部分的な考え方である。それにたいし、この養生訓に見られる「気」を基本とする人体観・病気観は、液体的・時間的・全体的な考え方であり、心身相関の考え方である。
生命の源である気はからだのなかをめぐっている。病気もからだをめぐっている。だから、気をとどこおらすと病いを生じ、気をめぐらして気をととのえれば病いはなくなる。
百病は皆気より生ず。病とは気やむ也。故に養生の道は気を調るにあり。
そして、「人の腹中にあり気も天地の気と同じ」だから、気を調えるのは、「呼吸をととのえる(調息の法)」が基本となる。現代流行のヨガや気功の基本もみな呼吸法にある。気を調え、からだを整えるのが、生を養う基本なのである。
立川昭二『江戸老いの文化』筑摩書房1996年
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コメント
とても魅力的な記事でした!!
また遊びに来ます!!
ありがとうございます。。
投稿: 履歴書のサンプル | 2012.05.20 15:31