« ワラジ足 | トップページ | カエル登場まで10年 »

2006.05.22

時代とともに変わる腕の位置

グリーンランド人は、数世紀に及ぶ植民地の存続中、ヨーロッパの習慣の移り変わりを細部に至るまで手本とし、採り入れていた。確実な記録が残っている例としては、埋葬の習慣が挙げられる。

 これは、スカンジナヴィアとグリーンランドの教会墓地から出土した人骨によって明らかになった。中世のノルウェーでは、幼児と胎児の遺体は教会の切り妻壁周辺に埋葬され、グリーンランドでも同様のことが行われていた。また、中世初期のノルウェーでは、遺体を棺に納めたのち、女性の遺体を墓地の南側、男性を北側に埋葬し、後期になると、棺を使わずに遺体を布か屍衣で包むだけで、性別によって埋葬場所を分けることもなくなったが、グリーンランドでも、時期を合わせて同じ変更が加えられている。さらに、中世を通じて、ヨーロッパ大陸の共同墓地では、遺体は仰向けに、頭部を西、足を東に向けて(死体が東を"向く"ように)横たえられたが、腕の位置は時代とともに変わって、一二五〇年ごろには腕を曲げてやや腰にかけ、その後はもっと曲げて胃にかける形になり、中世の終わりごろになると、腕をしっかり曲げて胸にかけることになった。グリーンランドの共同墓地でも、それに合致する腕の位置の移り変わりが確認されている。

ジャレド・ダイアモンド/第8章 ノルウェー領グリーンランドの終焉『文明崩壊』草思社2005年

|

« ワラジ足 | トップページ | カエル登場まで10年 »

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/26560/10173127

この記事へのトラックバック一覧です: 時代とともに変わる腕の位置:

« ワラジ足 | トップページ | カエル登場まで10年 »