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2005.10.31

鳥インフルエンザ

「WHOは全世界で1億5000万人が死亡する恐れがあると警告し、日本でも、厚労省が感染者3200万人、死者が17万人にのぼることもあり得る、との試算を発表しているほどです」(全国紙の厚労省担当記者)

「鳥インフルエンザのウイルスが変異して、一般のインフルエンザのように空気感染で人から人へ感染するタイプのものになることは、十分あり得る話です」

 厚労省の『新型インフルエンザ対策に関する検討小委員会』で委員を務める加地正郎・久留米大名誉教授(臨床ウイルス学)はそう警鐘を鳴らすのだ。

「例えば豚のように、鳥と人間双方の病気にかかりやすい動物の体内で、鳥と人間のインフルエンザウイルスの遺伝子が交雑し、人間に感染する鳥インフルエンザウイルスが生まれることが考えられます。97年に香港で確認されたケースでは、鳥から人間に直接感染したことがわかっており、人体に入ったウイルスが突然変異して、人に感染するタイプに変化するおそれも一方では出てきます」

 しかも恐ろしいのは、その病原性の強さだという。

「普通のインフルエンザに罹った場合は、免疫力が低下し、最近に感染して肺炎などを起こす2次感染でなくなるケースがほとんどですが、鳥インフルエンザの一部はウイルス自体が肺炎を引き起こすことがわかっている。ウイルス性の肺炎は細菌感染の場合と違って、抗生物質が効きません。高齢者ばかりか若い人たちまでもが、肺炎でバタバタ倒れるような悪夢の事態にもなりかねないのです」(同)

 予防も難しいそうで、「感染者がくしゃみをすると、一度に200万個もの飛沫が飛び散ります。その一粒ごとに無数のウイルスが含まれている。地面に落ちたウイルスが乾燥して空気中に浮遊すると、マスクの繊維の間からも侵入してしまう。ウイルスを一度吸い込んで喉の粘膜に付着すると、たちまち細胞に侵入するため、うがいをしても完全には防げません」

 インフルエンザには特効薬「タミフル」が開発されており、処方された方も多かろうが、「政府は2500万人分のタミフルの備蓄を目指しているものの、現在のところ1500万人分が間に合うかどうかといった状況。感染が予想される3200万人分には遠く及ばないというのが現実です」(島村忠勝・昭和大医学部教授)

「死者1億5000万人」とWHOが警告する「鳥インフルエンザ」『週刊新潮2005.11.3』

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