« 現在形の死 | トップページ | そのわがままがうれしいの »

2005.10.04

色気の在り処

フランス語で「アメリカ式のセックス」といえば、味もそっけもないセックスを意味する。文化と歴史を誇るヨーロッパ人の眼には、アメリカは成金大国に映るのだろう。文化の何たるかも知らないし、色恋を楽しむ術も野蛮で、一本気で退屈そのものだ。「おい、ピエール、
君は死んだ女とセックスをやったことがあるかい?」「いや、アメリカの女とならあるけど・・・・・・。」(フランス小話)

 

 しかし、吉行淳之介氏に言わしめれば、恋の国フランスだって「パッと開いてさあおいで」だから、「ヨーロッパでは、性交はできても情交はできない」ということになる。しかし、これはストリートガールの話であるから、おそらく万国共通の現象ではあろう。また、日本のストリップ小屋でも、最近では、「前戯」ははぶかれ、すぐに「本番」とあいなる。(中略)

「ドラ・シャペルというフランス人と料亭で遊んでいるとき、彼は僕に質問した。<あなた方はこうして芸者と雑談したり、あるいは歌や踊りを楽しんだだけで別れる。それで高い金を払う。どうしてもっと徹底的な欲望を果たさないで、あなた方は満足できるのですか>と。

 こんな質問は、ほとんど全ての外国人から受ける。そういうとき僕はこう説明してやる。<日本の国の色の道はあなた方とは違う。あなた方の国では、女を買うとなると赤裸になり、白ぬりのホテルの実用一方の部屋で、ときにはトイレットまで露骨に見える部屋で、ひたすら性戯にふける。ところが日本では習字を書道といい、生け花を華道といように、男女の関係を色道という。すなわちそれはたしなみの一種でもある。だから閨中においても女性は美しい色の襦袢を着て、寝具から蚊帳の色模様まで選び、枕もとのスタンドにも秋草の絵など描かせたりするのだ。我々は、色気というものは、肉体と着衣のあいだにあると信じている・・・・・・。>」(西條八十『わが愛の記』)

井上勝六『「薬食い」と食文化』三嶺書房株式会社1993年

|

« 現在形の死 | トップページ | そのわがままがうれしいの »

男女」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/26560/6251348

この記事へのトラックバック一覧です: 色気の在り処:

« 現在形の死 | トップページ | そのわがままがうれしいの »