10歳の聴診器
日野原 なぜ子どもが人を殺すということまでエスカレートしているか。子どもの教育は「don't」だ。
日野原 人を殺したり、盗んじゃいけませんよ、これ以上スカートが短くちゃいけませんよ、「don't」でしょう。そうじゃなしに、命を助ける運動を子どもにやってもらう、血圧を聴診器で測るのを一〇歳からやってるの。お医者さんよりも、一〇歳の子のほうが血圧を測るのは上手。子どもは耳がいいから。倒れた人の心臓が聴こえているかどうか耳を当てて、聴こえていなければすぐに蘇生術をやることは一〇歳でできるの。つまり、倒れた人、何か傷ついた人を助けようという運動で、子どもに救う技術を教えれば、殺すということは考えない。「don't」で教育は失敗したの。「let's do」、やりましょう、傷ついた人の命を助けましょう、そういうふうに発想を変えれば、子どもは非常にいいことができます。
日野原重明×門木三郎(詩人)『KAWADE夢ムック文藝別冊 日野原重明』2002年河出書房新社
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