鼻行類
「鼻行類」って知ってますか?
鼻で歩く動物がいたんですよ。前代未聞ですよね。逆なんです。鼻が発達してて足になってね。こんなふうに鼻が生えて、一本足でターン、ターンって飛ぶっていうんです。ある島だけにいたんですよね。で、その島にある時学者が来て、島ごと沈んでしまったんですよ。妖怪ですよ。いろんな種類がいるんです。その学者は島からその標本を研究用に持ち出して、また返しに行ったんですね。そこを原爆にやられて死んでしまったんです。像の鼻は長いですよね。ああいう鼻で何かをする可能性というのはありそうでも、鼻で止まって鼻で歩くというのはね、見たこともない。しかしその島にはちゃんといたんですよ。だからお化けは世界にいるということですよ。お化けというのは存在しとるんですよ。ただ人間の五感ではとらえにくいわけですよ。だからなんとなくいるような気がするとかね。
水木しげる/幸せの観察『独特老人』筑摩書房2001年
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