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2005.03.05

生きることに意味ある?

達人は、現代の常識とは異なる原理で動いていたという。そんな精妙な身体の動かし方は、現代人が疑問を持たず行っている「筋肉を鍛えてパワーとスピードを増す動き」の延長には現れない。

 繊細な身体の動かし方とは、桑田のように身体の感じた違和感に聡くなることなら、「術と呼べるほどの精妙な動き」が今では信じ難いのも当然だ。現代人は身体はデータに表せ、誰もがわかるマニュアルを頭で理解することで動作を行えるという奇妙な信仰を持っているからだ。
「身体が何でもデータになるなら、いつ死ぬかもデータにしてみろって」と言うのは養老孟司だ。甲野とは幾度も対論を交わした仲である。「今は意味のあるデータばかり大事にするけど、そもそも生きることに意味ある? その点、甲野さんは何の意味もないことを延々とやっているのがいい」と笑うと、「固定したデータを自分に当てはめても無理。身体は自然だし人は止まらない」

尹雄大/甲野善紀 達人の道が開く「脱近代」『AERA2005.3.7』

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