インド仏教のリーダー
インドの臍に位置するナグプールは、インドらしくない街だ。女性が大勢スクーターや自転車で颯爽と通勤通学する。マハラシュトラ州の州都ムンバイ(ボンベイ)に次ぐ第2の都市。人口220万人のうち、4人に1人が仏教徒という。
夏の酷暑がひときわ厳しいこの街で40年近く暮らし、「バンテージー(上人様)」と、老若男女が気軽に呼びかける日本人僧がいる。信徒は所かまわずバンテージーの足下に額ずく。中肉中背、面長の顔に細い目。1本欠けた歯が目立つ笑顔が妙に人なつっこい。
僧名は佐々井秀嶺(69)。インドに渡って約40年。家族を捨て、日本を捨て、政府高官の職にも就いている。17年前、当時のラジブ・ガンジー首相から市民権と「アーリア・ナーガルジュナ」のインド僧名を授かった。近年急増し政治的にも躍進しつつある5千万とも1億ともいわれるインド仏教徒のリーダーである。
分厚い自伝『破天―一億の魂を掴んだ男』には、佐々井が小学生の時に同級生と性交したエピソードから、インド仏教のリーダーになるまでが詳細に描かれている。
「自伝は本当は死んだ後に書くものだが、あいつがなかなか死なないから」と、著者の山際素男は冗談交じりに話した。佐々井と30年来の親交がある作家は、「思いこんだら信じちゃうのが彼の性格。人生そのものだ」と評した。
佐々井秀嶺(インド仏教のリーダー)/1億人を導くバンテージー『AERA2005.2.21』
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