アロパシー医学
我々はここで、「アロパシー(Allopathy)医学」なるものを、問題として意識せざるを得ない。「アロパシー」は、明治大正時代には、逆症療法(又は、逆治)、と翻訳されていた。つまり、病気の症状の逆の手を打つ(熱が出れば熱を冷ます、下痢すれば下痢をとめる、など)療法である。
しかし今では、どういうわけか、「対処療法」の訳語が定着されている。
米国の生化学者シンプソン博士によると、本来、西洋には、五つの流派が並存していた。
即ち、
(1)ホメオパシー(同種療法)
(2)ナチュロパシー(自然療法)
(3)サイコセラピー(心理療法)
(4)オステオパシー(整骨療法)
(5)アロパシー(逆症療法)
ところが、十八世紀後半から、アロパシー派が優勢となり、十九世紀には、欧米各国に続々アロパシー派が、国家によって、唯一の科学的医学としての独占的地位を与えられ、残りの四つの流派は、非科学的、と決めつけられ、非合法化された、のだそうだ(「不健康な食物は、不健康な人間を作る」、一九九四年、米国)。
どうやら、この「アロパシー」派を作り、それに医学と医療の独占的権力を付与した人々は、生体解剖を医学の必須の方法論として強制した人々と、同一の陣営に属するようだ。
直観としては、前記五つの流れのうち、(1)から(4)までは、人体(心身)の自然治癒力を信頼し、それを増強するための療法であるのに反し、最後の(5)(アロパシー)は、自然治癒力を敵視し、自然を憎悪する、そんな風な根本思想から生まれる、との印象を私は受ける。
ハンス・リューシュ『医療の犯罪』三交社1997年
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