マイマイのぶ子ちゃん
阿川 高樹さんはこれから恋はどうですか。
高樹 三度も四度もしたいけど、ちょっと疲れているからね。それに、恋愛ってしようと思って頑張ってできるもんかね?
阿川 かねって聞かれてもなあ(笑)。
高樹 若い恋は苦しいもんであって、「あ、私、ときめいているじゃん」っていう自分が楽しいっていうのは、もう中年よね。冷静な状態で、恋に振り回されることはないし、ときめいていても別に人生壊されないよ。
阿川 え、やっぱり人生壊されるような恋じゃなきゃダメですか。
高樹 いえいえ、それはもう結構です。私もときめいてる自分が楽しいような恋愛したいなと思うけど。でも人生、そんな甘くみちゃいけないの。幾つになっても、苦しみを伴うときめきがやってくることがあるよ、きっと。いつ穴に落ちるかかもしれない。だから、どっかで身構えとかなきゃね。ほら、阿川さん、にやにやしてる。「私はどうかしら?」って(笑)。
阿川 違う違う(笑)。恋にのめり込むような状況を想像すると、ふっと「このお腹は見せられないな」と。これがすごく大きなネックなんですけど。
高樹 ちょっと電気暗くしようとか(笑)。
阿川 そこは触らないでもらいたいとか。せめて後ろからとか(笑)。
高樹 そうそうそう! タポタポしてますからって(笑)。私もありますわ。五十八にもなったら当たり前じゃない。
阿川 大問題ですよねえ。
高樹 ある女優さんに聞いたんだけど、女優って不感症が多いんだって。いとも撮られることを考えてるから「あ、私、この角度で見られたらみっともない」とか考えちゃって、集中できないから。私、これは女の本質をついてるなあと思ったの。
阿川 小説家はいかがですか。
高樹 むしろ自分が何をゲットするか、何を楽しめるか、自分優先ね。恋愛だけじゃなくて、オペラでもダイビングでも夢中になって遊ぶことで骨の髄まで入って、結果として何年か経ったときに小説に役に立つ。計算ずくで取り入れようと思ってもダメなんじゃないかな。だから、何でも楽しむしかないっていうのが私の口実。楽しむことこそすべての原動力よ。
高樹のぶ子×阿川佐和子/一つの恋愛と別れから、十個ぐらいは収穫してしまった『週刊文春2004.12.9』
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