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2004.12.13

胸キュンは胃である

「あの、心臓とか肺とかは縮みますか?」
「縮みません」
「えー、じゃ、胸がキュンするのは、胃なんですかー(あんぐり)」

 全国の胸がキュンとなるみなさん。あれは胃、もしくは食道です。はっはっは。どうだ。興ざめだろう。いまふと思ったのですが、胃下垂の私は寝ると胃がもとの位置に戻るので、ちょっと上がります。ですから胸に近くなるわけですね。そして蛇足ですが、胃下垂は太らないというのは実は本末転倒で、やせてる人が胃下垂なんだそうです。障害物がなくてさがっちゃうだけのことらしい。だから相撲とりに胃下垂はいない。
「特に日本人は、胃がデリケートでね、欧米人とは全然違うんですよ。胃壁も薄いし、小さいし、目で見てわかるくらいに違うんですよ。
 日本人が食べてきた米は、炭水化物ですね。そして胃にあまり胃液をそれほど必要としない、そして胃にあまりとどまっていない。一方、肉を食べる欧米人ですが、これはタンパク質を分解するペプシンを大量に必要とします。だから胃に関しては外国の文献は当てはまらないんですよ」
 欧米人の胃をゴムまりとすると日本人のは風船なんですね。市岡先生は、胃についていろいろ教えてくださったんですが、実におもしろい。これが。
「春と秋は胃液が増えるんです」
 ひやー。それはんでですか?
 気候とか温度とかそういうことですか?
「ええ、温帯地方だけですけどね。胃の中に四季があるんですねぇ。これは私が思ってるだけですけど、昔、人間は冬眠してたんじゃないかな。だから秋に食いだめして皮下脂肪を蓄えて」
 食欲の秋は伊達じゃないんですね。
「そう。夏はあんまり胃液が出ないから、食欲もないでしょう。インドなんか、暑いから胃液が出なくて、だからカレーみたいな刺激物を食べて食欲を出すんですね。日本でも激辛ブームなんてあったけど長続きしなかったでしょ。当然なんですね」

清水ちなみ『仮定の医学』幻冬舎1995年

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