« 解剖学が生んだサンプル | トップページ | ファニアス・ゲージの生涯 »

2004.12.24

自我とは?

澤口 自我というのは心とか魂に通じるから、「それは脳とは別モノ」と考える人が少なくないんですね。「心は脳の活動である」というのは脳科学者である私にとっては大前提ですし、一般的にもすでに常識の範疇だと思うんですけど。理科系の学生や一部の学者ですら、すべてを脳の現象として片付けるなんて無茶だ! と反発する人がいまだにいますから。

伸坊 自我っていうのは、まァ「俺」ってことですよね。「俺様」って言う人もいる。言うときに胸をポンとたたいたり、腹をバンとたたいたりする。そのへんに「自我の座」があると思ってるからかもしれない。
 でも、まァ俺じゃなく自我なんていうと、自我とは何だろうか? とかってヤヤコシくなりますね。脳科学的にいうと自我って何ですか?
澤口 自我も脳のプロセスですから、どんな働きをしているか? ってことだけに注目すればわかりやすくなると思います。
 自我の働きには、大きく二つの側面があります。
 一つが「自己意識」です。これは文字通り自分に関する意識で、自分の状況を把握したり、自分の間違いや正しさに気づくという働きです。
 もう一つは、自分の行動や心、感情をコントロールすること。これを「自己制御」といいます。決断したり、意識的に行動を起したりするときには、自己制御の機能が働いています。抑制力とか意志の力と考えてもいいですね。
伸坊 「自己意識」と「自己制御」。そういうと、すごくスッキリしますね。
澤口 そうです。ゲージの失ったものは、まさにそれですよね。彼は卑劣な行為をしても、人が変わったと言われても、悲惨な人生を送っていても、そのこと自体は大して気にしていなかったわけです。
伸坊 うーん、まァ、その、大して気にしない、ってのもワリとボクは好きなんですけどね(笑)。とにかく、一般的にはこれが悲惨であるっていうのもわからないわけじゃないです(笑)。
澤口 自我を失うということは、自分を失うということであり、それは人間にとって最大に不幸なことだと思うんです。

南伸坊×澤口俊之『平然と車内で化粧する脳』扶桑社2000年

|

« 解剖学が生んだサンプル | トップページ | ファニアス・ゲージの生涯 »

」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/26560/2361218

この記事へのトラックバック一覧です: 自我とは?:

« 解剖学が生んだサンプル | トップページ | ファニアス・ゲージの生涯 »