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2004.12.07

日本ハ大変ズルイ国デース

宍道湖の夕陽

「日本ハ大変ズルイ国デース」
忘れていた声が耳の奥から聞こえてきた。
だいぶ前のことだが、外国人による日本語の弁論大会で聞いた話である。
話の主旨は大体こんな様なものだった。
<明治維新以降日本は西洋文明を積極的に取り入れ、
驚くほどの速さで先進国の仲間入りをした。
しかしその見返りとして、日本の伝統的な文化を失ってしまった・・・・・・
と母国で学んで来た。しかし日本に住んで分ったのだが、
日本人の腹の中に表と裏があるように、日本という国にも表と裏があり、
西洋を取り入れたのは表の日本で、西洋から見えにくい裏の日本には、
しっかりと日本の伝統的な文化や風景を保っていた。
日本は表側を西洋に明け渡したように見せて、
実は裏側に最も大切なものを隠していたのだ>
だから「日本ハ大変ズルイ国デース」とユーモアを交えて言ったのである。
この秋、松江市で私の詩画展が開かれ、
「宍道湖の美しい夕陽をぜひ見たい」という松江の人たちのお誘いで、
私も宍道湖のほとりに立つことができた。そして宍道湖を染める夕陽の中で、
「日本ハ大変ズルイ国デース」と、忘れていた声が聞こえて来たのである。

星野富弘/季節の詩『時の動き』内閣府2004.12

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