画像でわかる IQの低下
百瀬―脳の機能を画像化できるようになったことで、初めてわかったことというのは結構たくさんある。今までは脳のどの場所にどういう機能が宿っているかという局在論があったわけですが、最近はひとつの機能のためにどんな神経回路網が活動しているかという考え方に変わってきたわけです。脳の働きとして、そういう回路網的な考え方がしっかり成長してきた。
養老―確かに、脳の働きを全体として見ようというのは私が学生だったころは全くなかった方法ですね。
百瀬―脳の活動を画像として見られるというのは、何というのか非常に素直に脳を表現しているという実感がありますね。いろいろな人の脳の代謝や血流を測っているんですけれど、ボケとか病気になってきますと、画像を見たときに、この人、IQが大体どのくらいになっているかと想像がつくんです。そのくらい人間の脳の状態を素直に反映してくれていると思う。
養老―こういう技術ができてきたときにね、東大の教授会で毎年とろうやなんて話になってね(笑い)。
百瀬―ある有名な先生のデータをとることがありました。見た目は、ものすごく低下しているだろうなと思ったんですが、IQは一二〇くらいあるんです。だから、もとはものすごくあるんです。IQがいくつあるというよりも、むしろどのくらい下がったかということが、ある程度予測できるということです。
養老―やっぱり医学部の先生なんて毎年やるべきですよ。
百瀬―確かに米国の大統領はCTかMRIを必ずとることになっております。ただ、脳の健康診断ができるようになっちゃうと結構怖い気もしますが。
養老―というよりも、今のほうが怖いんじゃないですか。有名な逆噴射のケースもありますから。
養老孟司×百瀬敏光(東京大学医学部講師)/脳の像に「心」を見る『養老孟司・学問の格闘』日本経済新聞社1999年
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