あったかい感じがする
瀬戸内 私は、そういう不思議な経験は全然なかったんですよ。およそなかったのね。だけど、口ではうまくいえないけれど、たとえば、ここのところ好きな人がみんな死んじゃって、あとは屑ばっかり残っているんですね(笑)。
瀬戸内 そうすると、なにか気配を感じるというのかな、亡くなったその人のことを思うと、あったかい感じがするんです。みんな次から次へと死んでいくのにちっとも寂しくはないのね。
つまり、なんかいるんですよ、自分の体のすぐ近いところに。私は文章ではそれを「気配を感じる」と書いているんですけどね。だけど、なんだか空気があったかくってね。要するに私、ちっとも寂しくないんです。
美輪 そうなんです。忘れていたような人をふっと思い出したりするでしょう。ということは、その人のエネルギー体がそこに来ているということなんですね。
瀬戸内 そうなんですよね。それで、なんかね、「今来てるわよね」って言いたくなるような気配を、とくに最近いろんな人が次から次と亡くなって、感じるようになったの。
瀬戸内寂聴×美輪明宏『ぴんぽんぱん ふたり話』集英社2003年
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