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2004.10.19

メディアが責任を放棄した国は滅びる(1)

最近のニュースを見聞きして、日本の報道を奇妙に感じた人がけっこういたと思います。少なくとも私は、奇妙に感じました。それはイチローについてのニュース。イチローがジョージ・シスラーの年間最多安打記録257本に近づき始めた時、日本では奇妙な報道をしていたんです。

 たとえば、イチローが252安打に達すると、"あと5本"と報道してたんです。これはどう考えたって奇妙ですって。だって、イチローがシスラーの記録に並べばイイってもんじゃないでしょ? そんなわきゃないでしょうが! シスラーの記録を1本でもイイからイチローに破ってほしいというのが多くの日本人の願いだったはずです。だったら、イチローが252安打に達したら、"あと5本"じゃなく"あと6本"って報道しなくちゃ。それが、国民が本当に知るべきことを伝えるメディアの責任ってもんです。メディアが責任を放棄した国は滅びますよ。
 では、アメリカではどうだったのか? 私はインターネットでアメリカの大リーグ機構公式ホームページを一日も欠かさず読んでいたので、どう報道していたか知っています。"あと何本"はいつも日本より1本多かったです。イチローが252安打に達したら、"あと6本"と書いていましたよ。アメリカ国民だって、イチローが記録を破るかどうかに興味があったはずです。ということは、アメリカのメディアは責任を果たしていたことになりますね。(中略)
 日米の違いは、たった"1"本でしたね。たった"1"本の違いだけで国が滅びるかどうかなんて言っちゃマズイかも、ゴメンナサイ。

向井万起男/渡る世間は数字ばかり『週刊現代2004.10.30』

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