チェルノブイリのネズミ
突然変異で進化は一切起こらない事例を示しましょう。
生命科学のうちで、特に、突然変異と、メンデルの遺伝学が二十世紀の初頭に脚光を浴びましたが、このメンデルの遺伝学は、対立遺伝子という、きわめて表現系としては些細のものを扱っているので、遺伝学としては至極末梢的です。
例えば、ショウジョウバエの目の色や、羽の大きさ、エンドウ豆の花の色とか、そういったものは、進化とはおよそ無縁の遺伝現象です。突然変異とは、百万回に一回くらいの割合で、"コピーミス"として起こることですから、時間の関数で無目的に変化するものです。
さらに、哺乳類は、卵子が五百個しかありません。五百は二の八乗から九乗ですから、これで突然変異が一回生ずるのに四千代を経ないと起こらない計算になります。四千代の間に、たった一つの遺伝子の変化が現れるとなると、やはり、これで進化など起こるはずがないのです。
『チェルノブイリのネズミ』という、ネイチャーに報告された有名な話があります。チェルノブイリでは、一年間で一億年分ぐらいの突然変異をネズミの生殖細胞におこすほどの放射線を浴びたネズミが、何事もなかったかのように平然と生きている―というのです。そして子孫もちゃんといて、何の奇形も障害をもった子供も産まれていません。ほとんどの突然変異は修復されてしまうのです。突然変異で進化が起こるはずがありません。
西原克成『免疫病は怖くない』同朋舎1999年
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