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2004.10.02

ピロリ菌

ピロリ菌は、50歳を過ぎるとほとんどの人が持っている常在菌です。この菌はもともと酸に弱いので、通常の状態では菌数はふえません。ところが、制酸剤で胃酸を抑えると、胃はピロリ菌にとってたいへん棲みやすい環境となり、菌数をふやして暴れます。ここにストレスでふえた顆粒球が乱入してピロリ菌と一悶着を起こすと、胃は荒れ放題になってしまいます。

 ピロリ菌は胃潰瘍の引き金と名指しされ、抗生物質で除菌する治療が主流を占めています。たしかに、菌がなくなると、胃潰瘍はものの見事に消えてしまいますが、これはピロリ菌が悪玉だったからではなく、顆粒球が悶着を起こす相手がいなくなったために治ったというのが真相です。
 そもそもピロリ菌を暴れさせる環境をつくったのは、制酸剤です。医療は自分でまいた種を、自分でつみ取って治しているともいえます。
 ピロリ菌を除去して胃潰瘍は治っても、患者さんがストレスを抱えたままなら、今度は腸や食道など別の消化器で病気が発症します。潰瘍性大腸炎、クローン病、過敏性腸症候群など、ストレスによる障害はさまざまな形をとって現れます。
 あらゆる病気の解説に「ストレスなども影響しています」と書かれています。にもかかわらず、ストレスからの脱却が治療の中心に据えられなかったのは、自律神経と白血球のかかわりが分かっていなかったからです。
 これまでストレスは数ある原因の一つ、おまけにすぎませんでした。しかし、顆粒球による組織破壊の怖さを理解すれば、ストレスから逃れることがいかに重要であるかおわかりいただけるでしょう。何事もきっちりやらないと気がすまない人、完全主義の人は、仕事が予定通り進行しなかったり、相手が期待通りの結果を出さなかったりするとイライラしがちです。
 イライラして、頭の中が怒りで沸騰したら、「あっ、今、顆粒球が暴れているな」と思い出してください。胃炎になってしまうかもしれませんが、潰瘍は避けられるでしょう。もちろん、気持ちをゆったり構えられるようになれば、胃炎とも縁を切ることができます。

安保徹『薬をやめると病気は治る』マキノ出版2004年

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