35歳は危機感を抱く時
シーヒィ記者の報告によれば、女性は男性よりも早く、人生半ばの分かれ道にさしかかる。女性は三十五歳頃になると、「時間切れ」「締め切り」の時間がきたという危機感を抱くようになるが、それは、女性の人生についての次の六つの事実と関連しているという。
①三十五歳は、平均的主婦の場合、末っ子が小学校に入学する年齢である。
②三十五歳は、浮気の危険年齢が始まる時期である。
③三十五歳は、アメリカの平均的既婚女性が職場に戻る年齢である。
④三十五歳は、離婚した女性が再婚する年齢である。
⑤三十五歳は、妻が最も蒸発しやすい年齢である。
⑥三十五歳は、生物学的な限界が目にみえてくる年齢である。
一方、男性の場合も、三十五歳頃から時間が切迫していることを感じ始め、たんに仕事の面で有能で将来性があるというだけでは満足できず、一人前の男として認められ、尊敬されたいと切望するようになる。そして、キャリアの高い地位をめざした競争のためにフルスピードで突っ張りだす。しかし、ほんとうに厳しい試練の年は、四十歳だという。アメリカ社会では、男性が四十歳になると、吊るし棚にさがった品物のように、雇い主によって品定めされ、無言のうちに値上げ、または値下げされる。また、競争相手からも、どの程度の人物かというレッテルが貼られる。
女性にとっても男性にとっても、中年というパッセージは、まことに厳しい。
柳田邦男『人間の事実』文藝春秋1997年
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