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2004.09.05

おしゃぶりの効用

以前、私の症例報告を読んだという、あるIgA腎症専門の内科医が仙台から問い合わせてきました。「日本人とフランス人だけにこの病気が極端に多いけれども、何か理由がありますか」というのです。日本人が世界でいちばん患者が多く、フランスが二番めだということです。それを聞いて、私はすぐに気づきました。これは赤ちゃんの育て方の間違いがもとなのです。日本とフランスは、子供のおしゃぶりを早い時期に取り上げてしまいます。これが原因なのです。

 おしゃぶりをドイツやアメリカのように四、五歳まで使うと鼻呼吸が習得されます。しかし、日本の育児の現場では、一歳で取りあげるという指導を行っています。すると、鼻呼吸が習得されず、口呼吸の子供が育ちます。その子たちに口呼吸が原因となっておこる色々な免疫病が蔓延するのです。おしゃぶりは一歳で取りあげなければいけないという考えは、現代日本の乳児教育の迷信としかいいようがないのですが、これが日本の育児関係者に浸透しきっています。
 この迷信はアメリカの六十年前の迷信です。このころのアメリカでは、おしゃぶりを一歳をすぎても使っているとしゃべれなくなるとか甘えの象徴とかいわれ、専門家はいろんな理由をつけておしゃぶりは一歳で取りあげることをアメリカの一般家庭に浸透させました。ところが、五十六年前にドイツである研究が行われました。敗戦後のドイツの子供はどうもおかしい、という指摘がなされたためです。戦後ドイツの子供たちは、戦前生まれの子供たちに比べ、歯並びがたいへん悪い子や猫背の子が増えたのです。ちょうど今日の日本の若者たちもそれとそっくりの状況を呈しているのですが、顔の骨格が変形し、出っ歯や猫背と横まがり(脊柱側彎)の子が増えたのです。これはおかしい、とミュンヘン大学で研究が行われました。そして、その背景におしゃぶりと口呼吸の問題がある、という結論がでました。彼らが当時行った研究によれば、世界中の文化を比較してみると、比較的素朴な文化、たとえばアフリカの原住民の文化では、四、五歳まで子供を母乳だけで育てていました。これが、鼻呼吸を徹底させる環境をつくっていました。しかし、文明国では、四、五歳まで母乳を与えるわけにはいきません。母親に四年も五年も授乳させるのは西洋の社会事情では無理だからです。しかし、研究者たちは、乳房の代替物として形と働きのよいおしゃぶりを開発し、これを四、五歳まで使わせれば、長期間にわたって授乳する場合と同じように、子供に鼻呼吸をしっかり定着させることができることに気づきました。
 そして、この研究が公になると、戦勝国のアメリカはその研究結果をまるごと受け入れました。ここがアメリカのえらいところです。州政府でおしゃぶりを支給して、三~五歳まで使わせる政策を実施すると、子供たちはみごとに鼻呼吸を習得し、顎も兜のようにしっかりと形成され、背骨も首筋もすっきり伸びるという観察結果がでました。

西原克成『究極の免疫力』講談社インターナショナル2004年

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mamafufuさんより下記のようなご質問をいただいた。 「フランスの子育てに関して質問があります。「文-体・読本」2004.9.5「おしゃぶっりの効用」に転... [続きを読む]

受信: 2004.09.07 21:12

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