むずむず脚症候群
「英語ではレストレス・レッグ症候群と味も素っ気もない病名になりますが、むずむず脚症候群とは言い得て妙のネーミングですね。その症状は、主にベッドに入ってから、下肢にしびれてちりちりするような感じや虫が這うようなむずむず感が現れ、さらに数十秒から数分に一度といった間隔で筋肉がぴくぴくする動き(周期性不随意運動)が加わって眠りを妨げられる、というものです。患者さんは、じっとしていられずに起きて脚をさすったり叩いたり、動き回らずにはいられなくなるといいます。睡眠障害の一つに分類されます」とは阪南病院の黒田健治院長。
「病気の原因、発症メカニズムはわかっていませんが、患者さんの多くは透析を受けている方、糖尿病や貧血、アトピーなどの基礎疾患をもっている方です。透析を続けていると体内の微量ミネラルなどのバランスが悪くなりますが、そこにこの不快症状が加わるわけです。制約の大きい日常に不眠が重なった焦燥感から、自殺を考える方も珍しくない。こういう方に対しては、むずむず症状を呈している事実を検査で示し、取り除ける症状は取り除くことで少しでも癒しになればと思います」
ところが現実は、幾つもの診療科を回っている難民患者が多いらしい。例えば、むずむず感だけに着眼して整形外科や神経内科を訪ねた場合、その分野の検査では何ら異常をキャッチすることができない。無論、一般的な血液検査等でも何の異常もつかめない。その結果、自律神経失調症といった診断の下、睡眠薬や抗うつ薬を処方されても、際立った症状改善は現れにくい。
「確定診断は、医師による問診に加え、睡眠ポリグラフを行えば一目瞭然にわかります。筋肉のぴくぴくが何分おきに発生しているのか、それは脚が飛び跳ねるほどひどいものなのかといったことまで、詳細に把握できます」
軽いぴくぴくも一回の寝返りを打つことに匹敵するので、直接的に生命を左右する病気ではないが、辛い症状は本人にしかわからない。不快症状は日中の安静時にも起こりうるが、多くは深夜から明け方にかけて発生するという。
「特発性といって、基礎疾患もなく、他に何の問題もない若い人やお子さんでも起こることがありますが、若くて元気な方ではむずむず症状だけが目立って、深刻な睡眠障害を生じるケースは少ないようです」
病院情報ファイル『週刊文春2004.10.7』
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