泥パックの台紙に和紙活躍
ルネサンスの自由な精神の体現、ミケランジェロが約5メートルの大理石のかたまりから掘り出したダヴィデ像。この像がフィレンツェのシニョーリ広場に置かれてから、今年がちょうど500年目にあたる。この「大記念日」に向け、表面の洗浄を中心とした修復が8ヶ月をかけて実施。その修復に一役買ったのが日本の和紙である。
大理石を蒸留水でぬらし、和紙をのせた上に海綿と海泡石を混ぜて粘土状にしたものをのせる。数分後、紙をはがし、蒸留水で湿らせた綿棒を用いて、ミリ単位で慎重に汚れを落としていった。
「去年、ダヴィデの修復を見に行ったら、ちり紙のような紙を使っていました。そこで、もっといい紙があります、と修復師に言ったんですよ」
スポンサーのひとつとしてかかわったオランダの財団、「アルス・ロンガ・スティフティング」のウィレム・ドレースマンさんは、日本美術の研究者でもあり、日本の和紙に詳しかった。
そこで品質のいい手漉き和紙を京都の知人を介して送ってもらい、その効果をためしてもらった。それがノミの彫り跡の残るギザギザした表面にもよくフィットし、具合がよかった。
そこで、京都から本格的にとりよせて使用したという。高知で生産されている非常に薄くてきめの細かい紙で、「典具帖」とよばれる楮を手漉きした和紙だそうである。
日本の伝統工芸が、ふとしたことで世界遺産の修復に一役買うことになったわけである。デッサンなどの保存用の台紙や包み紙にも、化学薬品の入っていない手漉き和紙がよく使われるそうだ。
和紙で「美白」ダヴィデ像『AERA2004.8.9』
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