雪どけ水の若返り作用
「秋田美人の秘密はなんでしょうか」
「毎日新聞」秋田支局の記者から、私は突然こんな質問を受けた。
「それは雪どけ水のせいですよ」と即座に答えたのだが、さらに「雪どけ水には、何か特別なものがとけ込んでいるのですか」と聞かれた私は、「雪どけ水の若返り作用は科学的に実証されているのです」と答えた。
氷がとけた水に、生物を活性化させる作用のあることが初めて明らかにされたのは、北極でのことだった。氷がとけたばかりの海水のなかで、プランクトンの異常な増殖が見られたのである。
また、氷や雪がとけた水が農作物の収穫率を一・五~二倍も増やしたり、若鶏の成長を早めたり、鶏の産卵率や牛の乳量を増加させたりしていることも確かめられている。
昔から、米どころには美人が多いといわれるが、豪雪がおいしい米を作り出し、美人を生み出したりしているのだろう。
寄生虫や感染症学が専門である私は、「水が運ぶ病原体」を研究しているうちに、世界の飲料水の調査をしてみようと思い立った。好奇心のかたまりである私は、これまでに六〇ヶ国以上を訪ね、飲料水を検査し、実際に飲んでみた。
なかでも最も印象に残っているのは、ヒマラヤ山麓のネパールの高原に暮すフンザ族や、南米の奥地の高原地域に住むビルカバンバの人々で、そこには一〇〇歳を超える人がたくさんおり、驚くべきことに、彼らは長寿の原因が、自分たちが飲んでいる水にあることを知っていたのである。
ところが、水源となる河川の汚染などさまざまな原因によって、水道水に不安を覚える人が増え、日本は飲み水を輸入する国になってしまった。現在、ミネラルウォーターは、年間一〇〇〇億円を超える市場になっている。
私は水の不思議な作用を研究しているうちに、さまざまな病気を飲み水で治すことができるのではないかと考えるようになった。
藤田紘一郎/からだにいい水『波2004.8』新潮社
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