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2004.08.03

アレルギー疾患は社会全体の問題

アレルギー疾患の患者数の上昇はまだ止まっていません。止まるどころか、いまの社会的な状況が続けば、これからもっと増えると思います。

 農業の問題や、住宅の接着剤の問題など、社会全体でとりくむべきことがほんとうにたくさんあります。排気ガスもそうです。いままでは窒素酸化物や浮遊粒子状物質(SPM)だけが悪者扱いされてきましたが、ガソリンの燃焼で産生される炭酸ガスもアレルギーの原因として関係しているのがわかったのですから、現代社会のありようの根本から考え直さなければなりません。これはたいへんなことです。炭酸ガスの発生という意味では、火力発電などは、とてつもない量を毎日はきだしているわけです。水力発電、原子力発電、風力発電、太陽電池などの炭酸ガスがでないエネルギー生産を考えなければいけないでしょう。
 先日、ロシアを旅行したのですが、田舎の保養所で気管支喘息の子どもたちの治療をしていました。都会を離れてそういう保養所で暮らすと、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー疾患が治癒に向かうことはよくあります。それを考えると、いまの日本の治療のあり方といのは、根本的なところにたどりついていません。環境や生活を改善しないまま、対症療法を続けて、その結果副作用に苦しむ人が増えるばかりです。賢い医療とはとてもいえません。ロシアでもやっているのに、日本ではこのごろ転地療法をやりません。アトピー性皮膚炎や気管支喘息にかかったら排気ガスを避けるべきですから、日本でも清浄な環境への転地療法は効果が上がるはずです。それを、なんでもお手軽に薬で治そうとしているのが日本の現状です。いま日本で行われているのは表面的な治療にすぎません。
 多くの日本人の患者が、安易に薬に頼って破綻をきたす治療を選択してしまっているのは、悲しいことです。ソ連崩壊後、まだ社会的には不安の多いロシアでも転地療法を行っているのに、こんなに豊な日本が、そんなシンプルなこともできないでいます。山の学校や空気のいい場所に行って排気ガスを避け、身体を鍛えてリンパ球を減らして治していくという、原因からとりくむ治療に、日本人ももっと積極的にとりくむべきでしょう。せめて夏休みだけでも行う必要はあるでしょう。ロシアでは、ほんとうに衝撃を受けました。あちこちに保養所をつくって、アレルギーの治療を行っていましたから。豊な自然に囲まれて、体操して、心身ともにのびやかに暮らしながら、アレルギーを根本から治しています。日本ではさっぱりそういう医療の話は耳にしません。安易になんでも薬で治そうとしています。おかしな世の中だと思います。

安保徹『免疫革命』講談社インターナショナル2003年

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