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2004.07.02

腰痛、肩こりと痛み止め

働き盛りの男性や中高年の女性が腰痛や肩こりに悩まされ病院に行く。医者はレントゲン写真を撮り、頚椎や腰椎に変形がありこれが原因で痛みが出ていると言って痛み止め(NSAID:nonsteroidal anti-inflammatory drug)を処方する。痛み止めの貼り薬が処方されることもある。

 ところがまじめに薬を飲んだ人や熱心に貼り薬を使った人はむしろ病気が悪化する。このような例が極めて多い。実際、大病院の薬局に行くと痛み止めの貼り薬の空き箱が山のように積まれている。痛み止めは、別名解熱剤とか消炎鎮痛剤とも呼ばれている。
 では、なぜ多くの患者が病状の悪化に苦しみ続けるのか、そのメカニズムを考える必要がある。腰痛や肩こりの発症の原因は、骨の変形から始まっているわけではないということをまず知る必要がある。
 腰や肩のまわりの筋力低下(運動不足あるいは同じ筋のみを使用するなど)によって筋に負担がかかり血流障害が起こる。筋肉、骨、関節は一つの組織として進化し血流が調整されているので、この血流障害によって骨や関節が変形してくるのである。
 血流障害は交感神経緊張を伴う現象なので、かならず顆粒球増多も同時に誘発され、骨や関節の変形が促進される。そして、血流障害を改善しようとする副交感神経反射が痛みをつくる。
 具体的にはアセチルコリン、プロスタグランジン、セロトニン、ヒスタミン、TNF(腫瘍壊死因子)などが関与している。従って、腰痛や肩こりの痛みそのものはからだが正常態に復しようとする際に生じる治癒反応なのである。
 痛み止めはプロスタグランジンの合成を抑制し、交感神経刺激反応を誘導する。痛みを消すとともに血流を低下させる。痛み止めの貼り薬を腰にはると腰が冷え、手や足も冷える。これは血流障害が全身にゆき渡ったからである。
 このようにして、痛み止めは筋疲労で起こった血流障害をさらに上乗せするわけである。これが病院に行くと腰痛がかえってひどくなるメカニズムである。腰痛に対するコルセット使用も血流を抑制するので治癒の妨げとなる。
 徐々に運動して血流をふやし筋力を強化してゆくと、変形した骨や関節もほどよい形におさまって治癒してゆく。骨が変形したからといっても心配はいらないのである。
 痛み止めの貼り薬を長期使用した人が、急に貼り薬を中止すると、血流が改善するとともに著しい痛みが出現する。治癒反応の出現である。 
 しもやけを思い出して欲しい。手や足の指先が冷やされて血流障害を起こした状態がしもやけである。ストーブなどで指先を急に暖めて血流を回復させると激しいかゆみや痛みが出現する。
 これと同じことが痛み止めの貼り薬の中止で起こる。
 痛み止めを中止したあとの激しい痛みは血流が急に改善したためであるので、ゆっくり暖めてやると痛みは二、三日以内に完全に消失する。
 では、温湿布がよいのではないかと大事なことに気付いて、アドバイスをする人が出てくる。しかし、多くの温湿布は痛み止めの本質を理解しないままつくられているので、使用を薦めることはできない。
 なぜならば温湿布といってもその中に痛み止め(NASAID)を混ぜ入れるようなことが行われているのが現実だからである。これだと、前に述べた交感神経を刺激し続けることになり、解決につながらない。物質の本質、特に痛み止めの本態を理解していないのである。
安保徹『医療が病をつくる 免疫からの警鐘』岩波書店2001年

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